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執筆者の写真ヨンカ

「図書館の季節に閉じこめた」に家庭内暴力の描写を入れたことについて





先月、ノベルゲームコレクションにて無事3作目のフリーゲーム「図書館の季節に閉じこめた」を公開することができました。

早速プレイして下さった方や、感想を下さった方もいて、とてもありがたく思っています。

今回は、今作になぜ家庭内暴力・面前DVの描写を入れたのか、製作者としてどういう想いがあるのかについて書こうと思います。

ですが、これは特にどなたかから説明を求められたとかいうことではありません。

元々この辺りのことはお話したいなと考えていたのですが、書くのを迷っていたり、日常を忙しく過ごしているうちに、書くタイミングが今になりました。

ゲーム本編のネタバレはしていないので、まだプレイしていないけど、ゲームに興味を持って下さっている方にも読んで頂けたら幸いです。


まず、どうして家庭内暴力・面前DVの描写を入れたのか、ですが。

遠回しな言い方になりますが、ゲームに刺激的な要素を入れたい、と思って入れたわけではなく、自分のために入れました。

このゲームだけでなく、私の今まで作ってきたゲームは、100%ではありませんがエッセイ的な側面があります。

時々、こんなエッセイみたいなゲームでいいのかなと思うこともありますが、元々ゲームを作りたいと思うようになったのが、「体験」をゲームにしてみたいと思ったからだったりします。

もちろん、ゲームにするにあたってプレイする人が楽しめるように、加工し、工夫をしているつもりではあります。

ですが、自分と全く関係ない世界のことを、ゲームの味付けのために持ってきたわけではない、ということです。

ただ、これはあくまで今作における私のスタンスであって、他の方に考えを押し付けようとは全く思っておりません。

そもそも、体験したことしか作れないとなると世の中から創作物が消えてしまいますしね。

私も物語性の高いゲームを楽しむタイプのプレイヤーですし、物語を作り上げる製作者様を尊敬しております。


ただ、「関係ないことではない」ことが、制作時の私を疲労させることも多くありました。

「このような問題を扱って、どう捉えられるか」「本来娯楽であるはずのゲームなのに、内容が暗すぎないか」「逆にあっさりと描きすぎて、正確な描写にならないのではないか」…。

色々と考えましたが、公開した今もその加減が正しいのかわかりません。


また、家庭内暴力の問題を扱うだけ扱って、解決策を提示しないのは無責任ではないだろうか?と思うこともありました。

例えば、現在家庭の問題で苦しんでいる人がプレイしたら?何らかの支援機関を提示しなくていいのだろうか?

とはいえ、私は完全に個人でゲームを作っている人間です。

適当なことを言って、何かあっても責任をとることはできません。

私に言えるのは、相談できる人がいるのなら、相談してほしい、ということくらいです。

なので、ゲームの説明文のはじめに「家庭内暴力・面前DVの描写があること」を提示することにし、プレイしたくない人、このような問題に不安感がある人には避けてもらえるようにしました。

多少のネタバレにはなりますが、それ以上に必要なことだと思ったので。(また、このゲームの一番のネタバレはそこではないと思っています)


ただ、「じゃあこういう描写は入れないでおこう」とならなかったのは「そういう家庭のことを知ってもらう」ことならできると思ったからです。

家庭内の問題で苦しむ人は、なかなかそのことを表に出せない、ゆえに状況すらあまり知られていないのではと思います。

たくさんの温かい家族が出てくる創作物の中で、こういう家もあるんだ、という作品の一粒になれたら。

家族みんなで笑顔で食卓を囲むのが、当たり前ではないのだと知ってもらえたら、という想いで作っていました。


例えば、先ほどから出てくる「面前DV」という言葉をご存じでしょうか。

子供の目の前で家庭内暴力が行われることです。

子供自身が暴力を受けていなくても、それを見聞きすることによる心理的ダメージは大きいものです。

その言葉を注意書きに書くことで、ほんのわずかでも知ってもらえたら、という気持ちがありました。


もちろんこれは、製作者のエゴであって、プレイヤーの皆様がどのように感じたとしても、その感覚が本物だと思います。

一度作品を世に放てば、作品は受け取った側が自由に感じるものです。

そこには、製作者の意思は関係ないと思うし、こちらを窺うことなくプレイしてほしいと思っています。(これは、作品との向き合い方の話であり、誹謗中傷や盗作などは別の問題です)

ただ、一つわがままを言わせてもらうのならば、今もどこかで苦しむ人に一時でも思いを馳せて頂けたら嬉しく思います。


長々と書いてきましたが、これからも試行錯誤しながら創作を続けていけたらと思います。

ここまで読んで頂き、ゲームに関心を持っていただき、ありがとうございます。


「図書館の季節に閉じこめた」プレイはこちらから→https://novelgame.jp/games/show/9699

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こんにちは。ヨンカです。 個人でフリーゲームをゆるゆると作っています。 このサイトでは、ゲームのご紹介や制作裏話、イラストをまとめたりしたいと思っています。 よろしくお願いします。

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